心理的な要素も関係している

高齢者が生活不活発病を発症してしまう理由は様々です。多くの場合は、環境に行動が制限されている場合です。例えば、2020年以降はコロナウィルスの影響で外出が困難になり、行動量が減ったことで生活不活発病を発症してしまう高齢者が多くいました。しかし、生活不活発病の原因になるのは環境の要因だけでなく、本人の心理的な状態も関係しているのです。

例えば、体に不具合を抱えている高齢者の多くは、周りに迷惑をかけることを恐れています。自分が下手に動いて、こけたり物を落としたり、他人に迷惑をかけてしまったりすることに抵抗があるのです。中には家族から一人で動かないようにいいつけられているという高齢者もいます。そのため、もっと活発に生活するつもりはあるのに、そうすることができないという人は多くいるのです。

今更活発に何かに取り組むのが恥ずかしい、という理由で動きを制限している場合もあります。本当は外に出て色々な活動に参加したり、新しいことに挑戦してみたりしたいのだけれど、周りの目を気にして行動を起こせず「落ち着いている隠居老人」を演じているのです。

そして中には、誰にも動きを制限されていないし、活発に生活をする環境が整えられているにもかかわらず「自分にはもう無理だ」と、初めから諦めている人もいます。昔の自分と今の自分、もしくは今の若者と自分の姿を比べ、自己肯定感が落ちてしまっているケースが多いです。本来は、体が衰えることは恥ずべきことではないので、それを理由に諦めることは無いのです。